トーキング・アバウト・高橋マリ子 7

そしてchibinovaは途方に暮れる

おれは永劫に続く時間と空間の狭間を
地中深く封印された古えの蛇のようにただたゆたっていた

「神はそのひとり子を賜わったほどにこの世を愛された
それは神を信じる者がひとりとして滅びることなく
永遠の妄想を得るためである」

この身を引き裂き、どす黒い沼の底に棲む雷魚のような
ひどく濁ったおれの魂を捧げ物としてつき出してやろう

ふるぼけた城で惰眠をむさぼる年老いた吸血鬼は
最近貧血気味で階段から転がり落ちてばかりいる
神がこの世に賜わった退廃の結晶であるおれの身を
兎のように真っ赤なその目と役立たずな牙の為に食らうがいい

いつかは終るこのくだらない生のために
よだれを拭いて立ち上がるのはもう止そう

射精するしか能のない偽善者達の脂の載った心臓を
おまえの空っぽのしゃれこうべに詰め込んでやる
やつらの脳味噌ときたらただぷるぷると生まれたての子猫の様に震え
まるで蟹味噌ほどの有効性も持ち合わせていないんだ

ただ愛しい賢明なおまえにだけは知っていてほしい
しみったれたけち臭い世の中に唾を吐きかけるのは容易いが
おまえに口づけてくれるのもまた世の中なのだということを

それからいやみったらしいあの青空に向かって唾を吐くのは止せ
おまえの顔を恋しがって帰ってくる唾を受け止めたくないのなら
おまえの過去が流れ去って消えたわけではないことも知っておけ
それはつづれ織りのようにおまえ自身を織りあげているのだから