トーキング・アバウト・高橋マリ子 6

オーロラマリ子

まず何かジャズのレコ−ドをターンテーブルに載せてくれ
何でもいい・・・ いや、ビッグバンドのド派手なやつがいい
針を落とす前にひとつ言っとくが
何も考えないってのはそんなに容易いもんじゃない

おれをからめ取る種々のくそったれな「ここだけの話」が
浮き立ったこめかみの血管をぶち切るために奔走しているのだ

コップ半分のウォッカとよく研がれた剃刀を用意したら
遺書を書くためのペンを右手に握らせろ

嘲笑のため漂白された紙の上に
おれは荒ぶる感情を叩きつける

鈍臭い批評家より先ず家族に見せろ
「美徳をたのしむ連中に対して語ることばを
おれはもはや持ちあわせていないようだ
ただ卑しく醜いその顔に
裁きの雷を降らせるようゼウスにでも祈ってやろう
さあ死んでやる、おまえらみんな道連れだ!!」