gabriel faure / sicilienne

涼子・・・

ぼくが初めて曲を書いたのは中学生の頃だったのですが、きちんとひとつの楽曲になってはいなかった。通して聴ける、楽曲の体裁をかろうじて取れているものとしては、18、9才の頃に書いた「デラシネ」という曲が処女作、ということになるのだと思います。そしてその曲は、フォーレの「シシリエンヌ」から影響を受けまくっていた、というより、そのものと言ってもいいかもしれなかったですね。でも当時のぼくはそこまでフォーレを聴き込んでいたわけでもなく(やはりショパンやリストを最もよく聴いていたと思う)、なんだか「チム・チム・チェリー」っぽいフレーズなんかもごっちゃになったりはしていましたが。でも全体としての印象は、やはり「シシリエンヌ」としか言いようがなかった、そう思います。この曲とフランシス・レイ(白い恋人たち)、モリコーネ(特定不可能)、ロータ(ロミオとジュリエット)に出会っていなければ、今のぼくはあり得ないと言っていいと思います。

ぼくの美意識は、この頃からまったく変わっていません。なんだかんだと、山ほどの音楽を聴き散らかしてはきたけれども、「3つ子の魂なんとやら」で、結局こういった曲の持つイメージを彷佛とさせる音楽が好きになるんでしょう。進歩がない、とも言われそうですけど(笑)。でもね、人間ってそんなもんですよね。