maurice ravel / pavane pour une infante defunte

ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」と並び評される「亡き王女のためのパヴァーヌ」、どちらもジャズ・ミュージシャンが取り上げたりもしているので、耳にされた方も多いかと思います。こちらもとにかく美しい、凄まじく凡庸で陳腐な表現をさせていただくならば、心が澄み切っていくような、それでいて微かな痛みを残してゆく音楽であるように感じます。薫り高い、という言い方も当てはまるでしょうね。この「亡き王女」ですが、実際の所、誰のことなのか、はっきりとはわかっていないそうですね。ぼくは勝手にランボォの詩とミレーの絵、そして身悶えするほど大好きなヒューズの絵なんかを連想しながら、勝手に「オフェーリアのためのパヴァーヌ」として聴いていますが(笑)。ちなみにラヴェルは57才の時に自動車事故にあい、5年間寝たきりの生活を送った末に亡くなったそうです・・・

ぼくは坂本龍一氏のヴォイシングの秘密は、実はこの辺が源流ではないかと考えているのですがいかがでしょう。「シェルタリング・スカイ」のサウンドトラックとか、もう反射的に「亡き王女のためのパヴァーヌ」を連想してしまったんですけれども。