シューゲイザーに捧ぐ
雪が降っていた。
「どこかで誰かが泣いて 涙がたくさん出た 政治家にも変えられない僕たちの世代 戦闘機が買えるぐらいのはした金ならいらない (the blue hearts / no-no-no)」
とても寒い冬だった。
次の駅まで三十分歩いた。
闇ばかりは、味方だった。
降る雪のもと。空の先。
ビールかざし、名前を口にすれば、やさしく在れた気がする。
そうだった。
ぼくは、やさしく在りたかったのだ。
逢ったこともなかったが。きみの文章をたのしみにしていた。
逢ったこともなかったが。きみの弾いたベースの音楽は、京都でひとを躍らせた。
逢えたこともなかったが。感謝を空に投げ忘れた。
春がきて。
ずっと春のままだったらいいのにねって話を、きみのともだちと逢う。