戸川純 / 東京の野蛮
中学生のとき、地元に一軒のレンタルレコード屋で、なぜかこれを借りた。'宝島'に載っていて、それで興味を持ったのかもしれない(どういった種の興味かも、もはや定かではない ; きれいなひとだな、とか?)。たぶんそのとき・・・ もしくはそれ以前から、僕の恋愛観は変わっていない(その維持に対する徒労感ならあるが)。
その人の声を聞くだけで失神しそうな怒濤の恋愛。
暴虐の仕打ちさえ、ただ甘んじて許す終止した恋愛。
'i'll never forget you, i'm cryin''
さよならを教えて――片想いの数値を極限(そんな地点、ないんだけどね)まで――成就なんてされるわけない。
都合よくはきちがえないで。諦念の表現( 藁 )ではない。そもそも成就ということばが、この時点でスピードに溶けて消えた。
わたしは、あなたとセックスしたい。強姦、もしくは で。
もしくは、なに?
あなたと?
あなたで?
わたしは、あなたでセックスしたい!
「犯したい / 犯してよ」――そして。月光の白き林で、木の根掘れば出てくるのは、君を犯したい私と、私を犯したい君と、私に犯されたい君と、君に犯されたい私。永遠なる平行線。利害の一致。和姦? 対象・・・・・・・