『アンドロメダ・ストーリーズ』 (光瀬龍 / 竹宮恵子)
限りなく透明で、限りなく残酷な朝が、またやってくる。夜明け前の睦みあいは、遠い遠い国の昔話のようにその影を薄くする。高原での暮らし。ずっと憧れ続け、だが憧れ故に無垢で不可能な、永遠に廻り続ける糸車。おおぐま座とこぐま座のように。
アフルの髪は、高原の翠霞を想わせる。哀し気な瞳。運命に翻弄されてなお、気高さを失わない強さ。誰も辿り着くことができない、彼女の心の中に棲むもの。すべてを失ったとしても、最後の最後まで残るもの。
「・・・アフルがいるだけで荒れた地が輝く。こんな星で体中に希望があふれてくる。どんな物をも俺は愛する」
アフルとジムザが見た、二千年分の夢。
設定自体は、言ってしまえば「神々の黄昏」×「メトロポリス」といったふうで、夏木マリの歌を借りれば「よくある話ね、退屈な話」といったところなのだが。
おれもアフルを愛する。それがゆえに、美しい物語。
そして、物語とはそういうもの。はかなくて美しい夢。