『夏色ショウジョ』 (綾瀬さとみ)

街かどは今日もアツレキまくっている

こんな想い 叶わないって分かってる
でもあなたにどう想われようと
もう1度その瞳が見たかったの


わたしはこんなに不幸です。わたしはこんなに頑張ってます。まぁ、それはそれ。狂ったように打ち鳴らされる正午の鐘。非日常と非現実のはざまに横たわる不理解。お前とは決してわかりあうことができない。なら、憎しみあおうか? それとも、無関心の方が平和的か?

照りつける太陽、埃っぽい未鋪装の道、痩せ細った男の死体。

ジェーン・カンピオンが叩き付けた「ピール」。

褒めて。抱いて。舐めて。はらわたをえぐり出して。

ジェーン・カンピオンが叩き付けた「彼女の時間割」。

誰もがうつむきながら歩く、灰色の街はワイルド・サイドにあらず。

ジェーン・カンピオンが叩き付けた「キツツキはいない」。

太ももを伝う体液を追う眼が、真っ赤に充血している。

欲しいのか、欲しくないのか、自分でもよくわからない。取りあえず、握り締めたそのボトルで殴ってみてくれよ。死ぬかもしれない。お前は裁判で有罪を宣告されるかもしれない。

だからって、それがどうした? 何かのせいにしておけよ。

どうせずっとそうしてきたんだし、なによりママンが死んだんだ。


「それ生きてるって言わない。死んでないだけ (エイラ -1995-)」


荒布をまとい、灰をかぶって読めクソ野郎。