銀の腹々時計

建設巨人イエオン

cdをかたづけながら、気が遠くなる。キップルズ、あの防波堤が決壊するなんて想いもよらないことだった。イーダ聴きながら、想う。「そういえばこのcd、ヴェルヴェット・ムーンで・・・」なんて想いだすものばかりで部屋があふれればいい、なんて。


サンフランシスコに行ったことがない。小豆島みたいなところか。憶えてんのは、バスと長い階段のきみの仕種だけ、って、おおきく嘘をつく。


そう。ほんと云うと、はるま、ではなく、ちょこになりたかったのだ。あんなことがあっても、なお、オレには聞こえないように泣いた兄を抱きとめる太陽になりたかったのだ。北風に育ったぼくは、ノーザンタウンの空に光るドリーム・アカデミーに嫉妬するだけのル・ベベでしかなかったのだが。


気はきくほうだが、気をきかせるのは、なかば苛立ちからだってこと、きみは覚えておいて損はないと想うよ。